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北コソボの国民投票は延期

コソボ北部のセルビア人地域で、『コソボ政府を承認するか』というテーマの住民投票を延期したようだ。以下ソース。


>>Leaders in Serb-run northern Kosovo say they may review their
>>controversial decision to hold a >>referendum in the light of
>>Belgrade's stated request for them not to proceed.
>>
>>コソボのセルビア人地域のリーダーは、セルビア本国の
>>要請を考慮し、住民投票を延期する可能性があると述べた。


>>In December, Serb leaders in the North said they would hold a
>>vote in mainly Serb areas, to ask local people whether they
>>wished to acknowledge Kosovo government institutions or not.
>>
>>12月、セルビア人のリーダーは、コソボ政府の承認に関する
>>住民投票を、セルビア人地域で実施すると述べていた。


>>The referendum idea was not backed by Belgrade, however,
>>which saw it as unnecessarily controversial and as bound
>>to irritate the EU.
>>
>>しかしセルビア本国政府は、この住民投票が必ずしも
>>必要でないこと、またEUを刺激しかねないことから、
>>北コソボの動きを支持しなかった。


>>Brussels has made it clear it wants to see the political
>>temperature drop in the breakaway Serb-run north.
>>
>>EUは、コソボ北部のセルビア人地域における政治的過熱状態を
>>なんとかすべきと考えている。



http://www.balkaninsight.com/en/article/kosovo-serbs-mull-postponing-referendum




北コソボとしては、「コソボ政府の支配を認めるかどうか」という"国民投票"を実施することで、(当然、『認めない』が圧倒的多数になるから)北コソボのセルビアへの統合の正当性を主張するつもりだろう。

しかし、このようなコソボ本国をナメきった政治的アクションを起こせば、コソボ政府と北コソボの対立が深まるのは避けられない。民衆の感情レベルの摩擦が強まり、散発的な襲撃や暴動は起こるだろう。それは、ユーゴ全域の不安定化につながる。

ユーゴの不安定化は、国際社会(特に欧州連合)にとって嬉しいことではない。だからEUは、北コソボでなくセルビア本国を締め上げることで、この動きを阻止しようとしている。
政治的、経済的に弱体なセルビア本国を締め上げることなど、EUにとっては造作もない。そしてセルビア本国に北コソボを止めさせるというのが、EUの作戦だろう。

恐らくセルビア本国は、かなり本気で北コソボの動きを止めようとしている。それは、より長期的な視点で見るのならば、北コソボの『切り捨て』へ向けたアクションの一つになるだろう。


同じセルビア人のネイション・ステイトであるセルビア本国と北コソボが言い争い、分裂していく姿を見るのは忍びない。もちろん、北コソボやセルビアとコソボの対立も、見ていて楽しい光景ではない。


どこまでも救われない話だ。


ボスニアの地雷除去

ボスニアで、地雷除去が話題になっている。以下ソース。


>>That is 2,67 per cent of the total surface of
>>Bosnia and Herzegovina, where it is estimated
>>there are around 210.000 mines and unexploded
>>objects,” Gavran explaine
>>「国土の2.67%に、まだ21万発の地雷と不発弾が残っている」と、
>>国家地雷除去センターのガバラン氏は述べた。


>> the warnings are even seen in inhabited villages.
>> 地雷に関する警告は、人が居住する村々にすら見られる。


>>Bosnia will continue to face the mine clearing issue in the
>>coming years, while the process of demining is slowed by a
>>lack of financial support from the government and outside donors.
>>ボスニアは、今後も地雷除去を継続するとしているが、政府および外部からの
>>資金提供の不足により、除去のスピードは低下することが予想されている。

http://www.balkaninsight.com/en/article/bosnia-struggles-to-demine-territory


『地雷除去』と言うのは簡単だが、ボスニアの場合、それは容易ではない。

記事の中では、2.67%の土地に21万発の地雷と不発弾、という言い方をしているが、残りの97.33%の国土が安全というわけではない。単に、リスクが小さいというくらいの意味しかない。

長きに渡ったボスニア紛争は、必ずしも正規軍どうしの戦争じゃなかった。むしろ、統制のない民兵どうしの戦争というほうが実態に近い。
統制の取れてない民兵集団では、地雷の設置記録が散逸したり、そもそも記録自体を作らない。だから、全土のどこに地雷が残ってるのか、ホントは誰にもわからない。不発弾の状況は、もっとひどい。

そして、全土にわたって、『実生活上問題ない』水準の地雷除去を行うことはできない。非現実的なコストがかかるのはわかりきってる。記事にもある通り、リスクの大きい地域の除去作業すらままならないのだから。

結果としてボスニア国民は、『それなり』という水準の除去状況で生きていくしかない。『もしかしたら地雷があるかもしれない』というリスクを承知した上で、土地を使うしかない。それはとても苦しいことだ。現状では、ボスニア国民に安全を保障する手段はない。国際社会は見て見ぬふりをするしかない。どうしようもない。

がんばろう、ボスニア・ヘルツェゴビナ。


たまには書評2

気がつくと、ブログのネタがユーゴスラビア関連ばかりになっているので、また書評などを。


国際紛争 ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著



もともと、大学での国際政治の授業で使われていた資料をまとめた書籍。これまで何度も加筆修正が行われており、2011年末現在の最新版はVer8.0。

ウェストファリア講和から二度の世界大戦、冷戦、ポスト冷戦という歴史の流れを、極めて客観的かつ網羅的に抑えている。国際政治の入門書としては、現在のところ抜群に優れている。

近現代史に興味のある人であれば、間違いなくお勧めできる良書である。




攻防900日 包囲されたレニングラード ハリソン・E. ソールズベリー著



独ソ戦での、レニングラード戦を取り扱った小説。本格的な包囲戦が始まるのは下巻からなので、場合によっては下巻だけ読んでもよいと思う(上下巻セットだとちょっと高いし)。

小説としても十分読ませるが、それ以上に「包囲戦での生活の知恵」がたくさん得られる。例えば...

1. 書物に使われている糊を集めて煮ることで、粥を作れる
2. 革靴や革鞄を煮詰めることで、栄養のある煮こごりを得られる
3. 飢餓の時代には、道ばたで売っているソーセージの組成を気にしてはならない

・・・・・まぁ、一生役に立たない知恵となることを願うばかりである。


面白い本はまだたくさんあるけど、今回はこのくらいで。

セルビアのイカした主張


セルビア政府が、「いざとなれば、コソボとの戦争も辞さない」と思いっきり主張した。以下ソース。


>>Dacic said that Kosovo's Prime Minister Hashim Thaci
>>"needs to know that an attack on Kosovo Serbs would
>>be an attack on Belgrade.
>>"Serbia could not and would not watch that peacefully,"
>>
>>セルビア副総理のダチッチ氏は、「コソボ内のセルビア人に対する
>>コソボの弾圧は、セルビアに対する攻撃であり、セルビアはそれを
>>看過することはないと、コソボ政府は認識すべきだ」と述べた。


>>Dacic appeared to overturn this pledge, saying that ruling
>>out the possibility of war sent the wrong message to
>>Thaci and the Kosovo leadership in Pristina.
>>
>>(これまで、セルビアはコソボに対し、平和的手段を取ってきたが)
>>ダチッチ氏は従来の方針を変えたとともに、「セルビアが戦争に
>>訴えたがらない姿勢が、コソボ政府を増長させた」と主張した。

http://www.balkaninsight.com/en/article/dacic-serbia-to-go-to-war-over-kosovo-if-necessary



まぁ、セルビアは立派な主権国家であり、戦争という外交手段を選ぶ権利はある。そういう意味では、不穏当ではあるが、不当な発言ではない。コソボ政府がこの言葉をどう解釈するかはさておき。


だけど、仮にセルビアとコソボが戦争状態になった場合、事態はけっこうややこしい。なにより、『戦争』そのものへの認識に、ものすごい食い違いが出る。たぶん、こんなカンジ。


セルビア共和国の認識:
『自国民に対し、セルビア国土の一部を不当に占領する集団が弾圧を加えており、これを保護するための行動』

 注
 自国民:コソボのセルビア系住民
 不当な集団:コソボ政府
 行動:軍による『国内の』治安活動


コソボ共和国の認識:
『コソボ共和国のセルビア系国民に対する、実在しない「弾圧」を口実に、セルビアがコソボ固有の領土を侵略』


国際社会の認識:
『セルビア共和国が、コソボ在住のセルビア系住民の保護を理由に、コソボ共和国との戦争状態になった。戦争の理由が正当かどうかはわからないけど、たぶん不当じゃないの? そんで、そのセルビア系住民っていうのはコソボ国民なの? え? コソボ政府の実効支配下にあるわけじゃなくて、実質的セルビア国民? なんじゃそりゃ?』



噛み合わね〜。どうにもこうにも話が噛み合わない。とにかく、セルビアがコソボの存在を認めていないのが、混乱の根本的原因になってる。

これ、戦争になったら面倒だな。政治的決着がなかなかつかないで、泥沼化するパターンだよ。



がんばろうぜ、旧ユーゴスラビア。


やめてください北コソボ



コソボ極北部のセルビア人地域で、独立国家としての宣言を出そうとする動きが出始めた。以下、ソースの抜粋。


>>Oliver Ivanović says he does not rule out the possibility that
>>Serbs from northern Kosovo may "declare independence " of that
>>part of the province .
>>
>>(北コソボの『国務長官』である)オリバー・イワノビッチ氏は、
>>「コソボ極北部が独立を宣言する可能性を排除しない」と述べた。


>>Now Ivanović told Radio Serbia International that a Serb move to
>>"declare independence " would not be a good idea , "as it would
>>have no particular positive effects ".
>>
>>同氏はセルビア系のラジオ番組にて、「コソボ極北部の独立宣言は
>>よほどのメリットがない限り、いいアイディアでないだろう」と述べた。


>>However , the possibility has not been ruled out, because , as
>>he said , Serbs in Kosovo were "carefully monitoring the moves
>>of their neighbors ( ethnic ) Albanians ".
>>
>>しかし、北コソボのセルビア系住民が、アルバニア系住民から監視を
>>受けている以上、独立宣言の可能性は排除されない、と彼は述べた。

>>http://www.b92.net//eng/news/politics-article.php?yyyy=2011&mm=11&dd=18&nav_id=77398



こういうの、ホントやめてほしい。下手なことをすれば、セルビア ―― コソボ間の紛争になりかねない。


もちろん、北コソボが主権国家として独立を宣言したとしても、実質的にセルビア共和国の傀儡国家になるのはわかりきっている。

もうちょっとわかりやすく言うと、北コソボの独立宣言というのは、「北コソボのセルビア人地域が、コソボ共和国という国家から脱して、セルビアへの併合を行う」と宣言しているに等しい。

コソボ政府にとっては、文句なしの主権侵害ということになる。




そして、なんつーか、北コソボの独立は、どう考えてもムリでしょ。コソボ政府への肩入れを明確にしてるEUやアメリカが、そんな面倒な国を認めるわけもないし、周辺諸国の反応を考えても

コソボ   ・・・ 反対(領土の一部を持ってかれるわけにはいかない)
クロアチア ・・・ 反対(国内のセルビア人の独立心を刺激する事態は避けたい)
モンテネグロ・・・ 反対(国内のアルバニア人の独立心を刺激する事態は避けたい)
マケドニア ・・・ 反対(国内のアルバニア人の・・・以下同文)
ボスニア  ・・・ 反対(国内のセルビア人、クロアチア人の・・・以下同文)
ハンガリー ・・・ 反対(現在のハンガリー政府は、大ハンガリー主義者を活発化させたくない)


・・・・賛成してくれる国が、どこにもない。せいぜいロシアが消極的な支援をしてくれるくらいか?



過去に、似たような事例(特定の民族が、『本国』のバックアップのもと、どこかの国から独立をする)は、ないわけじゃない。例えば・・・・

● アブハチア  (バックアップ国:ロシア)
● 南オセチア  (バックアップ国:ロシア)
● 沿ドニエストル(バックアップ国:ロシア)
● 北キプロス  (バックアップ国:トルコ)

なんてのがある。でも、ロシアやトルコは、あくまで「地域大国」としての国力があるからこそ、こういうことができた。
現在のセルビアの国力や外交関係を考えると、ムリっしょ。


やめといたほうがいいよ、セルビアさん。


Appendix

プロフィール

Author:扶桑
  
本家サイトはシスプリが中心ですが、こちらは特にテーマを絞らず、面白いと思ったことはなんでも取り扱っていきます。

最近は、冷戦、ソビエト連邦、旧ユーゴスラビアなどのネタが増えてます。

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